「投資はまだ不安だけれど、コツコツお金を貯めたい」という方にとって、積立式定期預金は身近で使いやすい選択肢の一つです。このページでは、積立式定期預金の仕組みやメリット・注意点、利用のステップをわかりやすく説明します。
積立式定期預金とはどんな商品か
積立式定期預金は、毎月決まった日に一定額を自動的に積み立てていき、定期預金として運用する仕組みの預金商品です。
あらかじめ積立額と積立日、預入期間(例:3年、5年)などを決めておくと、普通預金口座から自動的に資金が振り替えられ、専用の積立定期預金口座に貯まっていきます。進学資金や旅行費用、住宅購入資金など、目標となる金額や時期がある貯蓄に向いた商品として、多くの金融機関が取り扱っています。
積立式定期預金のメリット
積立式定期預金には、次のようなメリットがあります。
自動積立で「貯める」仕組みを作れる
いったん設定してしまえば、毎月自動的に普通預金から積立額が振り替えられるため、「つい使ってしまって貯まらない」という悩みを軽減しやすくなります。給与振込口座と同じ金融機関で積立を設定すれば、給料日後に自動的に貯蓄に回す仕組みも作りやすくなります。
元本保証があり、預金保険の対象となる
積立式定期預金は原則として元本保証の商品であり、日本の預金保険制度の対象です(一定の上限や条件があります)。投資信託などと比べると、元本割れの心配が少ないことから、「まずは安全性を重視したい」という方に適しています。
少額からでも始めやすい
金融機関によって条件は異なりますが、月1,000円や500円程度から積立が可能な商品もあります。大きなまとまった資金がなくても、少しずつ貯めていきたい方に向いた仕組みです。
積立式定期預金の注意点
安全性が高い一方で、積立式定期預金にはいくつかの注意点もあります。
途中解約すると普通預金並みの金利になることが多い
満期まで預け続けることで、定期預金の金利が適用されますが、途中で解約すると、解約時点の普通預金金利など、低い利率が適用されるケースが一般的です。途中解約が絶対にできないわけではありませんが、「本当に使わないお金かどうか」をあらかじめ確認してから設定することが大切です。
超低金利環境では利息は大きくは増えない
現在のような低金利環境では、積立式定期預金の利息だけで大きく資産を増やすことは難しいのが実情です。「減らさないことを重視しつつ、少しでも利息を得たい」という位置づけで考えると、期待とのギャップを感じにくくなります。
インフレへの備えとしては限界もある
物価上昇が続くと、同じ金額のお金でも将来買えるものが少なくなる可能性があります。積立式定期預金は元本が減りにくい一方で、インフレ率を上回る利回りを安定して期待できるわけではありません。インフレへの備えとしては、投資信託など他の手段との組み合わせも検討する価値があります。
積立式定期預金を始める手順
ここでは、一般的な銀行で積立式定期預金を始める場合の流れを整理します。
- 口座を持っている銀行のサイトや窓口で、「積立定期預金」「積立式定期預金」などの商品ページを確認する
- 商品内容(金利、預入期間、積立可能額、途中解約時の扱いなど)を確認する
- インターネットバンキングにログインし、「預金」や「定期預金」のメニューから「積立定期預金の申込」を選択する
- 積立元口座(普通預金など)、毎月の積立額、積立日、預入期間を入力する
- 必要に応じて、ボーナス月だけ積立額を増やす設定を行う
- 内容を確認し、「申し込み」「確定」ボタンを押して手続き完了
店舗窓口で申し込む場合も、担当者が案内してくれるため、インターネット操作が不安な方でも始めやすい商品です。
積立式定期預金を上手に活用するコツ
積立式定期預金をうまく活用するためには、「目的」と「期間」をはっきりさせておくことがポイントです。
目的別に口座や契約を分ける
「3年後の旅行資金」「5年後の子どもの進学費用」など、目的ごとに積立式定期預金を分けて契約しておくと、途中で使いにくくなり、目標額の達成を意識しやすくなります。
生活防衛資金は別に確保しておく
急な出費に備えるための生活防衛資金(目安として生活費の数か月分〜半年分程度)は、普通預金や出し入れしやすい預金に残し、そのうえで余裕資金を積立式定期預金に回すと安心感が高まります。
投資とのバランスも視野に入れる
将来の資産形成を考える場合、積立式定期預金だけではインフレに負けてしまう可能性もあります。安全性の高い積立式定期預金で「守りの部分」を確保しつつ、余裕が出てきたら少しずつ投資信託などのリスク資産も検討する、という段階的なアプローチも有効です。
「まずは貯める」仕組みづくりの一歩として活用する
積立式定期預金は、大きなリターンを狙う商品ではありませんが、「毎月確実に貯めていく仕組み」を作るうえで、とても頼りになる存在です。投資に踏み出す前の土台づくりとしても有効で、家計の中に「先取り貯蓄」の習慣を根付かせるのに役立ちます。
まずは、自分の生活に無理のない積立額と期間を決めて、小さな一歩を踏み出してみることが、将来の安心につながる貯蓄のスタートになります。




