50歳からの、積み立て投資の心得

「もう50代だし、今さら積み立て投資を始めても遅いのでは？」と感じる方は少なくありません。しかし、50歳からでも無理なく続けられる積み立て投資の方法を知っておくと、60代・70代の安心感が大きく変わります。このページでは、50代から積み立て投資を始める際の考え方や商品選びのポイント、続けるコツをやさしく解説します。

50代から積み立て投資を始める意味

50代から積み立て投資を始める最大の意味は、「老後資金を預金だけに頼らず、インフレにも備えながら増やす選択肢を持てること」です。

日本は長寿化が進み、60代以降も20年、30年と生活が続きます。退職後の生活費や医療費、趣味の費用まで考えると、「十分貯まっている」と思っていても不安になることがあります。そこで、預金だけでなく投資信託などを使って、時間を味方にしながらお金に働いてもらう、という発想が重要になります。

もちろん、50代は20代・30代と比べて運用期間が短くなります。そのため、「大きく増やす」というよりも「インフレで目減りしにくくしながら、じわじわ増やす」イメージで取り組むのが現実的です。

50代の家計で無理なく積み立て額を決める

50代からの積み立て額は、「今の生活を圧迫しない範囲で、長く続けられる金額」にすることが何より大切です。

具体的には、次のようなステップで考えるとイメージしやすくなります。

毎月の収支をざっくり把握する

まずは家計簿アプリや通帳を見ながら、毎月どれくらい「余り」が出ているかを確認します。ボーナスがある方は、ボーナスから積み立てる分も別枠で考えておくと安心です。

「これなら続けられそう」という金額を決める

家計の余裕が2万円なら、最初は1万円だけ積み立てに回し、残りは予備費にするなど、やや余裕を持たせた設定がおすすめです。短期間で金額を増やしすぎると、生活が苦しくなり、結局やめてしまう原因になります。

ボーナス月だけ少し増やすのも一案

毎月1万円＋ボーナス月だけ5万円など、「普段は少なめ、ボーナスでドン」といった組み合わせも、50代には現実的な方法です。証券会社や銀行のつみたてサービスでは、ボーナス月の増額設定ができるところも多くあります。

リスクを抑えた商品選びのポイント

50代からの積み立て投資では、「リスクを取りすぎない商品選び」が重要になります。

分散投資がしやすい投資信託を中心に考える

個別株だけでなく、日本・海外の株式や債券に広く分散投資された投資信託は、1本で世界中に分散しやすい商品です。値動きはありますが、1社の業績に大きく左右されるリスクを減らせます。

手数料（信託報酬）が低めのものを選ぶ

長く積み立てるほど、毎年かかる手数料の差が効いてきます。商品ページに「信託報酬○％」と書かれているので、できるだけ低いものを選ぶのが基本です。インデックスファンドと呼ばれるタイプは、手数料が比較的低い傾向があります。

運用期間とリスクのバランスを考える

50代の場合、60代前半まで10年前後の運用を想定する方が多いでしょう。株式中心の商品はリターンが期待できる一方、短期的な値動きも大きくなります。投資信託の中身が「株式のみ」か「株式＋債券」かなど、資産配分を確認して、自分の許容できる値動きの範囲を意識しましょう。

新NISAやiDeCoなど制度も組み合わせて考える

50代から積み立て投資を始めるなら、税制優遇のある制度を活用できるかどうかもチェックしておきたいポイントです。

新しいNISA制度では、一定の投資額まで運用益に税金がかからない仕組みがあります。また、iDeCo（個人型確定拠出年金）は、掛金が所得控除の対象となり、所得税や住民税の負担を軽くしながら老後資金を準備できる制度です。いずれも利用には条件や上限額があるため、自分が利用できるかどうか、金融機関や公式サイトで確認しておきましょう。