円安・円高というニュースを見て、「外貨で積み立てておいたほうが良いのでは?」と感じる方もいるのではないでしょうか。ここでは、外貨普通預金の積み立てとはどのようなものか、円安との関係や注意点を中心に、基本から解説します。
外貨普通預金つみたてとは何か
外貨普通預金つみたては、米ドルやユーロなどの外貨建て普通預金に、一定金額を継続的に積み立てていく仕組みです。
一般的には、円を外貨に両替して外貨普通預金口座に預ける形になり、金融機関によっては「積立外貨預金」「外貨積立」などの名称で提供されています。毎月一定額の円を自動的に外貨に交換して預けるサービスもあり、手作業で為替タイミングを図ることなく積み立てていけるのが特徴です。
円安になると外貨預金の評価額はどう変わるか
外貨普通預金つみたては、円安になると円換算した残高が増え、円高になると減るという特徴があります。
例えば、1ドル=100円のときに1,000ドルを外貨預金にすると、円換算で10万円です。その後1ドル=120円まで円安が進めば、1,000ドルは円換算で12万円になります。為替差益が出ている状態です。一方で、1ドル=80円まで円高が進めば、1,000ドルは8万円となり、為替差損が生じます。
外貨普通預金は預金という名前がついていますが、為替レートによって元本割れのリスクがある点で、円の普通預金とは性質が異なります。
外貨普通預金つみたてのメリット
外貨普通預金つみたてには、いくつかのメリットもあります。
為替分散の一つとして機能する
手持ちの資産をすべて円だけで持つのではなく、一部を外貨で保有することで、為替リスクの分散につながる場合があります。特に円安局面では、外貨で持っている分の価値が円換算で増えるため、資産全体のバランスをとる役割を果たすことがあります。
外貨建ての商品を利用しやすくなる
外貨普通預金に資金があると、その外貨を使って外貨建ての投資信託や海外ETF・外貨建て保険などを利用しやすくなるケースもあります。ただし、それぞれの商品ごとにリスクやコストの仕組みが異なるため、事前の確認が必須です。
外貨普通預金つみたてのリスクと注意点
外貨普通預金つみたてを検討する際は、メリット以上に「リスクとコスト」をしっかり理解しておくことが重要です。
為替レートの変動による元本割れリスク
先ほど触れたように、円高になると外貨預金の円換算額が減り、元本割れとなる可能性があります。為替レートは経済状況や金利動向など様々な要因で変動するため、短期的な動きを予測することは難しいとされています。
為替手数料・スプレッドがかかる
円を外貨に両替する際、金融機関ごとに為替手数料(スプレッド)がかかります。たとえ預金金利が高く見えても、為替手数料の負担が大きいと、実質的な利回りは低くなってしまうことがあります。円に戻すときにも手数料がかかるため、「往復のコスト」を意識することが重要です。
預金保険の対象外となるケースが多い
日本の預金保険制度は、原則として円建ての預金が対象であり、外貨預金は保護の対象外となることが一般的です。万が一、金融機関に問題が生じた場合のリスクについても、事前に確認しておきましょう。
外貨普通預金つみたてを検討する際のポイント
外貨普通預金つみたてを始める前に、次のポイントを検討材料としておくとよいでしょう。
- 生活費や緊急予備資金は円の預金で十分に確保できているか
- 為替変動により評価額が上下しても、すぐに慌てて円に戻さなくてよい余裕資金で行うかどうか
- 為替手数料や金利条件を複数の金融機関で比較したかどうか
- 外貨で保有した資金の使いみち(将来の留学・海外旅行・海外投資など)があるかどうか
円安だけを見て判断しないことが大切
ニュースで円安が話題になると、「今のうちに外貨預金をしておいたほうが得なのでは」と感じやすくなります。しかし、為替は今後円安が続くのか、円高に戻るのかを事前に断定することはできません。
外貨普通預金つみたては、円安・円高どちらの局面もある程度想定しながら、「一部を為替分散として持ちたいかどうか」「どのくらいの変動なら気持ち的に耐えられるか」を基準に検討することが大切です。あくまで全体の資産の一部として位置付け、預金や国内外の投資信託などと組み合わせて考えていくとよいでしょう。
出典:SBI新生銀行「外貨普通預金 商品説明書」/SBI Shinsei Bank「Foreign Currency Savings Deposit」




